ポールサイモン~「ライブ・ライミン」レビュー No.2

 前回に続き、ペペタスギター教室発行、「昔のメルマガ、久しぶりに公開」の続き。
ポールサイモンのアルバム「ライブ・ライミン」のレビュー~曲目解説です。
曲目解説
 初めの3曲は、ポールひとりで弾き語り。弾き語りギターのお手本のようですね!
#1~僕とフリオと校庭で
 単純な3コードで、シンプルながら印象的なリフとメロディー。特に「ここからこんな風に展開するんだ!」と、見事な一ひねりが、まさしく天才的なメロディーライティングと感心します。マーティンD-35S(ジャケット写真のギター)の音も素晴らしい!歌詞は、当時モラルがまだ強く常識観念として根付いている社会から、新たな旅立ちをする少年の不安な気持ちを、正直に聴かせます。

“I’m on my way,I don’t know where I’m goin’,Good bye to Rosie the queen Corona,See me and Julio down by the schoolyard”
(僕は自分の道を行くんだ、どこへ行くかは分からないけど。だから、コロナの女王ロージーに、さようなら。また、会おうよね、僕とフリオと、校庭で)
#2~早く家に帰りたい
 S&G時代の大ヒット。ギターはヤマハのポール・サイモン・モデル(初代の)と思われます。コンサートツアーの旅が続き、早く家に帰りたいな、と歌います。
“All my words come back to me in shades of midiocrity”
(全ての言葉は自分に返ってくる。様々な明暗を残しながら)
#3~アメリカの歌
 最高の曲と思います。ベトナム戦争で混迷の時代を過ごし、自信を失くし、疲れ果ててしまったアメリカ。そんな社会を自分の人生と照らし合わせて、歌われる隠れた名曲。私の価値観、人生観はこの曲の歌詞がそのままに息づいています。決定的な影響を受けました。
 それにしても、ギターも上手い。この歌の伴奏として、全く、過不足無い。見事です。伴奏ってなんなのか、教えてくれます。
“I don’t know a soul who’s not been battered,I don’t have a friend who feel at ease, I don’t know a dream that’s not been shattered or driven to its knees, but I’m all right,for we’ve lived so well so long”
(打ちのめされたこと無い人なんて居ないし、僕の友人に心安らかな奴なんて居ない。くじけさせられ、挫折しない夢なんてない。だけど、僕は大丈夫。だって、こんなに長いことうまくやってきたんだもの)
“You can’t be forever blessed. Still tomorrow ‘s going to be another working day. And trying get some rest.
(人間、いつまでも恵まれているわけにはいかないんだ。相変わらずの明日はやってくるけど。だから、僕はちょっと休みたいんだ)
 ここからは南米民族音楽専門グループ「ウルバンバ」が参加。アルゼンチン国籍で、フランス在住の4人組。

#4~コンドルは飛んで行く
 S&G時代に大ヒットさせていますが、ここでの演奏は、ギターと民族楽器のみとなって、より、雰囲気の濃い、メランコリックな仕上がりとなっています。
#5~ダンカンの歌
この時代、ポールは混迷するアメリカを多く取り上げていますが、この曲も、そのモチーフを、よりパーソナルな形で書き上げた曲と思います。地味な曲ですが、この演奏は、内面に向かう強い高ぶりが感動的な音波となり、心を揺さぶります。
“My father was a fishman,mama was a fishman’s friend.and I was born in the boredom and the chouder”
(パパは漁師で、ママはその彼女だったんだ。で、退屈さと、チャウダー鍋から生まれたのが、僕だった)
“Holes in my confidence,holes in the knees of my jeans,I was left without a
penny in my pocket”
(僕の確信も、ジーンズの膝も穴だらけで、ポケットに1円も無い有様でした)
“Just later the very same night,she crept to my tent with the frashlight,and my long years of innocence ended. She took me to the wood,saying,”Here comes something and it feels so good!” And just like a dog I was befriended”
(この歌詞は「18歳未満お断り」な内容なので、ここでは書けません)
“I was playing my guitar,lying underneath the stars,just thanking the Load for my fingers”
(僕は星空の下に寝そべってギターを弾いていました。神様に感謝を捧げていたんです。僕に指を与えてくれたことを)
#6~ボクサー
 S&G時代の大ヒット。この曲も「ダンカン」同様、ニューヨークにたどり着いた孤独な青年が、猥雑と孤独に耐え、踏みとどまることを、ボクサーに喩え、讃えています。これの、ポール流の人生の応援歌ですね。演奏も、歌詞に呼応し、熱く盛り上がります。
ここからは、ゴスペルグループ「ジェシー・ディクソン・グループ」が参加。

#7~母と子の絆
 ポールは時期によって、傾倒した音楽が変遷してゆきます。このころから1980年代、初め頃までは、黒人音楽の影響を強く受け、且つ、アレンジを巧みに取り入れています。この曲もR&B色が強く出ています。
#8~サウンド・オブ・サイレンス
 S&Gのヒットで、ダスティン・ホフマンのデビュー作「卒業」のテーマ。歌詞は、すごく重いです。ディクソン・グループが素晴らしく、まさしく、教会での説教のような、荘厳な雰囲気に仕上がっていて、素晴らしいテイクだと思います。この曲の演奏の、一つの理想型といっても良いでしょう。
 混迷の時代に信じるものを見失い、様々な欺瞞に満ちた群衆を、手厳しく批判し、こう結ばれます。
“The wards of the prophets are written on the subway walls and tenament halls”
(予言者の言葉は、地下鉄の壁や、安アパートのホールに書かれているぞ)
#9~イエスは道なり
 ジェシー・ディクソン・グループの独壇場。ゴスペルの神髄をかいま見ます。

#10~明日に架ける橋
 S&Gの大ヒット。ベトナム戦争で傷つき、疲れ果てて、自分を見失ってしまったアメリカ。そんな人々を、自分が身をなげうってでも助けてあげよう、と歌われる、 正に救いの歌。
 ポール自身はゴスペルを意識し作った曲とのこと。S&Gでは、アート・ガーファンクルが歌い、少年聖歌隊の如く、清々しく歌っていましたが、ポールの理想型は間違いなく、このテイクでしょう。
 ちなみに、S&G一夜限りの再結成でのニューヨーク、セントラルパークコンサートでは、リチャード・ティー(名キーボードプレーヤー。黒人。私の最も好きなキーボーディスト)が、かなり黒っぽい演奏で、素晴らしかった。
 あの9・11同時多発テロのあとも、現場で歌われました。今、中東を初め、世界が混迷し、あの時代と同じ過ちを繰り返しているのでは?と、思わずにいられません。
#11~母からの愛のように
 R&Bやロックンロール色の、ノリの良い曲。やはり、ディクソンズが良い色を出しています。
#12~アメリカ
 S&Gのヒット。アメリカをヒッチハイクする恋人達の目を通して、現代社会に生きる刹那を歌いながらも、明日に生きる希望を歌ったもの。歌詞の「みんなアメリカを探しにやってきたんだ」は、「アメリカ」=「自由」または「人生」と思えます。
“Kathy,I’m lost.” I said. Though I knew she was sleeping. “I’m empty and I’m aching and I don’t know why”
(「キャシー、僕は分からなくなってしまったんだ」彼女が寝ているのは分かっていたけど、言ってみたんです。「虚しいんだ。苦しいんだ。何故だか分からないけど」)
“All come to look for America”
(みんなアメリカを求めてやって来たんだ)
 以上、このレビューを書いてから、多分5年以上経っていると思いますが、そのまま出してみました。でひ、素晴らしい音楽に触れて、自己啓発してください。
 今の世の中、みんな、「心の再構築」が必要ですね。それには、優れた音楽が最高です!

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昔のメルマガ~ポールサイモン Live Rhimyn'

 
昔々、ペペタスギター教室プレゼンツで発行した、メールマガジンです。久し振りに再公開することにしました。
 ポールサイモンの1974年のアルバム「ライブライミン」です。素晴らしいCDで愛聴盤。

序文● 
レッスン中、よく話すことなのですが、「曲やアーティストによっては、アメリカ 近代史を認識せずには、その作品の本質を語ることが出来ない」ものです。
 特に、モダンフォーク(ボブ・ディランなど)から、ウッドストック(ロックの時代)へ至り、その後、それが熟れすぎた果実のように、退廃してゆく時代。
 この時代、音楽が社会に果たした役割は甚大でした。やはり、ベトナム戦争が非常に大きかった。泥沼化するベトナムに様々な考えが交錯し、激しく体制を批判する若者達の声が大きく投影されてゆきました。
 そんな中で、「アメリカンライフの崩壊~伝統的な価値観の破壊や大衆の崩壊」などが起こってゆくのですが、ミュージシャンが、ラブソングではなくて、よりメッセージ性の強い曲を発信し始めたのは、やはりボブ・ディランの成功におうところが、大きかったと思われます。
 自分の意見を社会に投げたい。その手段として、街角で歌い始めた。したがって、 歌詞が果たす役割がとても重大なわけです。その成功により、沢山のミュージシャン達が成功してゆくことになります。
 歌詞の素晴らしさに視点をとり、ロックバンドを見てみますと、例えばイギリスだけど「クリーム」(エリック・クラプトンのバンド)。格調高く、シェイクスピアをも思わせる文章で、鋭く社会をえぐる。
 また、レッド・ツェッペリン。比喩的な表現が多く、文学的な側面も強く感じさせます。自己の内面に、深く向かっている切り口が多い。
 さて、そんなわけで、沢山の素晴らしい詩人達が輩出され、ジャンルを超え、社会に影響を与えてきたわけですが、その中でもポール・サイモンは、ナンバーワンと断言して良いと確信します。
 このCDに収録された曲は、サイモン&ガーファンクル時代の1964年から、解散しソロでの2枚目、1973年まで、10年間に渡って書かれたものですが、ポールの人間と人生、社会を見つめる、洞察力の深さに、つくづく感心させられます。
 特に、ベトナム戦争によって、深く傷つき、疲れ、理想を見失い、病んでいった混迷のアメリカ。そのアメリカを、「人」に置き換え、絶望したり、皮肉ったり、励ましたりと、実にインテリジェンスに歌います。
 このCDのなかで、私が一番頼りにしている曲は「アメリカの歌」。1973年発売のアルバム “Time goes Rhymin’ Simon”に収録。
 人生の折々で、悩み、苦しいとき、いつでも私の心を救ってくれる。この曲が書かれてから、21年の月日が流れていますが、今でも古びることはない。人生の本質を書いた、素晴らしい曲だと思います。
音楽的な観点から見ると、ポールは音楽的好奇心、向上心と強い人で、時期によって、傾倒しているジャンルが移り変わります。特に60年代最後~80年代初頭にかけて、黒人音楽に深く傾倒していますが、この時期の内容も素晴らしい。参加メンバーも、ニューヨークのスタジオメンで、凄腕の面子ばかり。(”スタッフ”の面子ね。)
  そんな中で、このCDで聞ける「ジェシー・ディクソン・グループ」(純粋なゴスペルグループ)とのコラボレーションは素晴らしい。ボーカリストとしての理想型を、ここに感じていたのでしょう。「明日に架ける橋」「サウンド・オブ・サイレンス」など、まるで教会での説教のように、深く感動的な声で、心に染みてきます。
私の想い出
 私はこのアルバムを購入したのは、確か中学3年の頃と記憶しています。収録曲目がS&G時代の有名曲を含み、ベスト盤のような概要だったので、店頭で見て、購入したのを憶えています。
 その頃、聴いた印象では、正直言って「よく分からなかった」というもの。まだ、子供で(この歌詩を理解するには)持て余したのでしょう。只、何度も聞きました。勿論、ギターでも練習して弾いてみたり。だから、当然、嫌いじゃなかったわけです。
 で、高校生になり、エレキギターを弾き始め、徐々にギターを弾くとお金がもらえるようになって、大人になって行くわけですが、高校2~3年の頃、自身の中でサイモン&ガーファンクル再発見みたいな時期が有ったんです。で、その時「あれ?」って思った。歌詞が、結構、受け止められるんです。
 で、バンドマン時代、色々と悩み多き時代。はまりましたね!「まったく、この曲は俺のためにあるんじゃないか?」なんて思った曲が、このアルバムに沢山あった。
 仕事では、その頃、こういった傾向の音楽は演奏していませんでしたから、もっぱらバーボン飲みながら聴くばかりだったのですが、聴きながら涙が止まらなかったのも一度や二度じゃなかったです。
 で、時は流れ、あっという間に自分が中年という年に差しかかり、色々と悩むことも、苦しむことも多い時代。ある晩、行田教室で営業終了後、なんの気無しにこのレコードを引っ張り出して聴いてみたんです。それこそ、十数年ぶりに。
 感動しましたね。涙が溢れてしまった。何となく、「人生ってこういうものなんだよ。また明日も、生きてゆこうよ」って、言われているようだった。
 私は今、丁度、年を重ねてゆくこと~自分の人生に折り合いを付けること、或いはそれは、様々な事に見切りをつけたり、力無く苦笑したりと、人生のある岐路に差しかかっているのだと思います。
 「努力すれば、何でも手に入る」という、今までの私を作ってきた魔法の言葉をそのまま、信じ切って生きてゆけるのかどうか?悩み、吐息を吐く。
 そんな日々に、この音楽は、救いに聞こえました。そして、私は、ギターと音楽の神様に感謝する気持ちを取り戻せたんです。
 ギターを皆さんに教えていて、或いは、こういった事を伝えなければいけないんじゃないか?と思っていたこともあり、今回、こういった形でそれを実現することとなりました。このレビューを切っ掛けに、そんなことを皆さんと分かち合えたら素晴らしいと思っております。
曲目解説は、次回のブログでご紹介します。
(つづく)

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トリオ~ドリーパートン、リンダロンシュタット、エミル―ハリス

 今日土曜日、ペぺ田代はペペタスギター教室東京、高田馬場教室担当。一日、肌寒い雨でしたね。
 今日は久しぶりにCDレビューです。私の愛聴盤紹介。
 アメリカン・ポップシンガーの大スター3人が共演した、「Trio(トリオ)」。
Dolly Parton  ドリー・パートン
Linda Ronstadt リンダ・ロンシュタット
Emmylou Harris エミルー・ハリス
1987年、ワーナーから発売。

 3者それぞれ、大スターですな。
 ドリーはカントリーの大御所ですね。「火の玉ロック」が大ヒットして、伝統的なカントリーから様々なバリエーションにサウンドを求め、最近、久しぶりに「伝統的なカントリーサウンドの新作」を発表したらしいです。
 ホイットニー・ヒューストン主演の映画「ボディーガード」のタイトルトラックになった「I will always love you」の作者、本家本元と言ったほうが分かりやすいかな?

 リンダは、ロック、ジャズ、メキシコ、カントリーと、様々なスタイルで秀作を残してますね。最近、ますます素晴らしい歌声。しばらく前に、彼女のジャズアルバムを、このブログでも紹介しました。

 エミルーは、ブルーグラス寄りのカントリーから始まり、伝統的な路線を長くやってました。「ザ・バンドの”ラストワルツ”~”イバンジャリン”」で見た人も多いかな?昔は黒髪ストレートロングヘアーの麗しいルックスでした。
 昔々、その黒髪エミルーのポートレートを飾っていたことがあって、その頃付き合ってた彼女に、いやみを言われた覚えがあるぞ。

 で、このCD,ジャケットがいいのです。左側の、アメリカン・オールドファッション・ドレスの写真も麗しいですが、右側の「着せ替え切り抜き人形」がデザインされてるのも、アルバムコンセプトによる遊び心一杯で素敵です。
 こういうのは、ぜひアナログレコードの寸法で欲しいのですがね。もうすでに1987年はCDのみの発売時期に入っていたので、無いのでしょうな・・。

 おっと、見た目の話が先行しましたが、内容が抜群です。佳曲、好演揃いで、何度聞いても素敵です。
 「To know him is to love him(つのる想い)」は、大ヒット曲のカヴァーですが、アレンジ、演奏、歌、全部最高です。
 メンツも素晴らしい。トレモロギターでライ・クーダー!ハワイアンギターとマンドリンにデヴィッド・リンドレー!(美しいスライド!!!)アコギでアルバート・リー!凄いね!
 ちなみに曲は、あの「フィル・スペクター」(ビートルズのアルバム”Let it be”のプロデューサーと言うのが一番分かり易いかな)の出世作。
 ユーチューブで見られます。便利な時代だね、どうも。ちなみに、バックはデヴィド・リンドレー以外はCDとは違います。
こちらから、コピー&ペーストでどうぞ。
(スタジオライブ)http://jp.youtube.com/watch?v=TC-d2AkPqcE
(プロモーション)http://jp.youtube.com/watch?v=U30-I1sUUJ0&feature=related
 このCDで、私が大好きになった曲は、ドリーがリードヴォーカルの2曲。
 まずは彼女の自作品「Wild flowers」。サビの歌詞は:
”When a flowers grows wild,
it can always survive,
 Wild flowers don’t care where they grow”
(意訳:野生に育つ花はいつだって生き残ってる
      野生の花は環境なんて問題じゃない)
 素晴らしいですね。人生の応援歌だね。ギターはマーク・オコーナー!それにエミルー。
 もう一つは「Rosewood Casket」。かなり古いフォークソングらしいです。
 内容は、死の床にある老女が、先だった最愛の人を想う、といった歌。
意訳を、ざっとですが:
(大理石の台においた「紫檀の棺」と「最愛の人からもらったラブレターの束」
 その手紙を読んで聞かせて
 何度も読み返そうと思ったけど 涙があふれて読めなかったの
 私が死んで安らかな眠りについたら それは天国で目覚める眠り
 だから嘆かないで下さい
 彼の手紙とロケットを私の心臓の上にそっと置いて
 でも彼がくれた この金の指輪は 決して指から外さないで)
 日本に、老女がかつての恋を唄う歌があるのだろうか?と思ってしまいますね。
いわゆる「ポップソング」「小唄」「歌謡曲」何と言おうが、意義は同じですね。その「庶民の身近にある唄」の「ありよう」の問題。
 民度の問題かね~?日本には「本当に良いもの」が少なすぎると思います。
 「和歌」には勿論、間違いなく、秀作がいくつかあるでしょうね。最近、その辺を勉強したいと思っているのです。日本人の「精神レベル」が高かったのでしょうな、あの時代は。
 携帯に、このCDをインポートしてあって、よく聴きます。そのおかげで、電車で少し、幸せな気持ちでいられます。

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ピーター・ポール・アンド・マリー(PPM)とかぐや姫

 今日は日曜日でペペタスギター教室は東京・埼玉とも休校です。私ペぺ田代も、今日は完全休養日にしました。家内は昨夜から、実家の大阪に行っていて留守なので、私は一人でノンビリ。そしたら、日頃の疲れが出て、腰痛、肩こりに目の奥が痛かったりと、トホホな有様・・・。でも、ブログはさぼらないのでした。
 前回は、中学の頃からブルーグラスをコピーしたりしてました、という話でしたが、今日はフォークです。フォークソングね。すでにその頃からニューミュージックという言い方(ジャンル)があり、フォークもその一角に組み入れられていましたが。
 ギターを始めて、本当に最初の頃聴いて、「いいな~」と思って取り組んだのがこのアルバム。「かぐや姫」の「3階建の詩」です。
 「22才の別れ」のハーモニクスも印象的で、すぐに覚えました。イントロのリードギターなども、私が初めて弾いたソロの部類に入るんじゃぁないかな?
 アルバム全体、よく覚えています。本当に何度も聞いたし、親友と二人でやっていたフォークデュオで、日曜の度に練習していたし。あの頃は、本当に日曜が待ち遠しかったなぁ。
 近所のレコード店で購入しましたが、当時は、まあ何も分からずに、「なごり雪」「赤ちょうちん」など、ヒット曲が多く収録されていたのでこのアルバムを買って帰りました。
 まあ、子供の頃のレコードとの出会いなんて、こんなものかもしれませんね?

 こちらは「ピーター・ポール・アンド・マリー(PPM)」です。彼等の音楽にも、強く惹かれました。伴奏がギター2本とベースのみ、という編成も、なかなかレコードでは珍しくて、貪るようにコピーして練習しました。
 歌詞も、中学生にも何とか理解できる内容で、それにも影響を受けました。一番好きだったのは「レモントゥリー(Lemon tree)」。もちろん、名曲のオンパレードで、大人になってから、ひしひしと心に染みたのは「風に吹かれて(Blowin’ wind)」。もちろん「パフ(Puff)」も大好きだった。

 かぐや姫もPPMも、私が聞いたこの時期には、「古いもの」(すでに解散していたし)でした。特にPPMは古い。
 ヴィデオもなかったこの頃ですし、情報も少なかった。雑誌などで読んだ小さなコラムなどが、記憶として蓄積してゆき、徐々にそのアーティストの全体像をつかんだような感じ。
 なので、数年後、PPMが「再結成して来日」した時、TV彼等が演奏するのを見た時は、何故か涙が出ました。
 彼等は、ご多分にもれずマーティンギター(Martin Guitars)の愛用者だったので、いきおい私も「マーティンが欲しくて欲しくてたまりませんでした」。
 当時、D-45の定価が80万だった。カタログをや雑誌の写真を眺めては、ため息をついていましたよ。(大卒初任給が、多分5~6万だった)ちなみに輸入元は東海楽器だった。懐かしいなぁ。
 今でも私は、重度の「良いギターが欲しい欲しい病」なんだけど、もう、それはその頃からずっとね。
 で、大人になるにつけ、ギター自体を溺愛しないタイプのギター弾きを多く見かけるようになり「?」と思っていたのですが、パパ(ペぺ・ロメロさん)に会った時、「同じ病気」なので、すっかり好きになりました。その後のお付き合いは、皆さんご存じのとおり。まあ、家族同様。ともかく重度のギター病は、互いにそれが分かるのです。
 また、我々「ギター病者」は、「演奏を磨かないギターコレクター」とはまったく違い、根本的に相容れない価値観もありますな。
 それは「ギターの良し悪し」の判断ですね。それはスペックについての評価。我々は、いくらスペックが良く高額でも、現場での実力がダメなギターは何をやってもダメなので、見向きもしませんが、「コレクターさん」は外見が良けりゃ飛びつくのですな。
 まあ、そんな話はまた今度。
 

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ブルーグラス・ギター

 今日は金曜日。私ペぺ田代は、ペペタスギター教室・埼玉・戸田公園校でのレッスン担当日です。最近、東京教室を始め各校とも混みあうことが多く、レッスン予約が取りづらい場合があって、ご迷惑をかけています。
 今日は、CDレビューとブルーグラス・ギターの話題。
 私がブルーグラスの洗礼を受けたのは中学1年の時。
 ドック・ワトソン(Doc Watson)の「ニューポート・フォーク・フェスティバル・ライブ」レコードを聴いて、冒頭の「ブラック・マウンテン・ラグ(Black mountain Rag)」の素晴らしいピッキングにショックを受けた午後。
 それによって「クロスピッキング」という言葉も知ったし、「テクニカルなギター演奏芸術」という、自分が生涯を掛けることになる世界に出会いました。
 このジャケット(写真)は、ドックのデビュー盤で、その名も「ドック・ワトソン」。もちろん、彼の看板になる「ブラックマウンテンラグ」(フラットピッキングによる)と「ドックのギター(Doc’s guitar)」(指弾きによるスリーフィンガーピッキング)、2曲共、初録音で、参考音源にお勧めします。

 ブルーグラスは、「速弾き」がひとつのテーマで、ピッキング名人がもてはやされるのは、ハードロック・ヘビーメタルなどと同様で(まあ、ギター全般そうかな)、この盲目の名手による「ブラックマウンテンラグ」は、ギターピッカー達の腕試しの曲にもなりました。
 今でも、私はレッスンにて、生徒の皆さんに、練習曲としてお勧めすることも多いです。
 中学の頃、盛んにコピー、練習したドックのことは、思い出も多いのですが、それはまたの機会に。
 もう一人の名手を挙げるするなら、トニー・ライス(Tony Rice)。言わずと知れた名手で、伝統的なブルーグラスからトラディショナル、そしてドーグミュージック(後述します)まで名盤を残すギタリスト。世界一有名なマーティンD-28を弾いている男としてのほうが有名だろうか?
 まずはギターの話。彼が使用しているマーティンD-28は1935年製。名ギタリスト、クラレンス・ホワイトが生前使用していた名器を譲り受けたもの。指盤はグレッチのものに交換され、サウンドホールが大きく口径を広げられた改造品。
 まあ、超有名なD-28の中でも、最も有名なギターでしょう。このモデルをもとに、マーティンもD-28CWというモデルを出していて、この写真がそうです。黒澤楽器店のHPから承諾をいただいて、転載しています。
 ちなみに、今度の5月3日のペペタス生徒さん発表会でも、Dー28CWで、それもハカランダ・モデルを使用する生徒さんがいますよ。そのギターは、GOOD!です。
 高くてもダメなギターがある中で、この個体はいいです。楽しみ。

 さて、私が一番好きなトニーのアルバムは、弾き語りで自己の愛唱歌を飾り気なく録音した「チャーチ・ストリート・ブルース(Church street blues)」です。
 素晴らしい歌と演奏に、好録音。喉の疾患から、美声を失ってしまった現在のトニーですが、このアルバムでは、カントリー・ブルーグラス・シンガーに共通の「通りの良い”あの声”」を聞かせてくれます。

 もう一枚は、ドーグの名盤、トニー・ライス・ユニットでの録音「バック・ウオーターズ(Back Waters)」。
 ドーグとは、ブルーグラスの腕達者達が、自分たちの作法でジャズを演奏したもので、独特のサウンドです。このアルバムには、コルトレーンがモーダルに吹きまくってジャズファンに浸透した「My Favorite things」を始め、スタンダードも収録されてます。
 このジャンルの、ひとつのシンボルじゃないかな。

 と言ったわけで、ペペタス・ギタースクールは、正真正銘、あらゆるジャンルに本格的でディープなのです。
 今度は又、違うジャンルについてご紹介したいですね!

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きらりと光るギターソロ~リンダ・ロンシュタットのジャズアルバムから

 今日は日曜日。私ペぺ田代は、ようやく2週間ぶりの休みでほっと一息。ペペタスギター教室も、高田馬場・戸田公園・行田と全校定休です。
 しかし、生徒さんからのメールに返信や、その他、仕事に類することはこうしてやっているので、まあ、完全休養にはならないかなぁ。そして、ブログも書くのです。
 今日はCDレビューです。生徒さんには、レッスンの流れで「参考音源」として様々なCDをお勧めしますが、あまり私自身の現在聞いているものなど紹介しないので。皆さんに「何聴いてます?」とよく聞かれるし。
 
 リンダ・ロンシュタットが2004年にジャズの名門レーベル「ヴァーブ」から出した「Hummin’ to Myself」。
 彼女は、私の尊敬するネルソン・リドルと80年代に3枚のジャズスタンダードアルバムを出していて、これはその最終作1986年以来の、久々のジャズアルバムですね。
 選曲、アレンジとも素晴らしい。センス良いです。本物の音楽。
 演奏も、腕達者な人が集まってます。アレンジが、それぞれのミュージシャンの特色が出るように配慮され、そこも素晴らしい。

 で、ギターの話ですが・・。私が昔、レコーディングで歌バックをし始めた頃。
参考音源で、何か聞かなければ!と思った時、自分のコレクションは、あまりに「ギタリストのリーダーアルバム」が多く、またそれが、8、または16小節のコンパクトなソロをプロットする参考には、全く直結しないことに驚きました。
 で、他の楽器のリーダーアルバムに参加するギタリストの「短いソロ」を研究しなければ、と思い、そんなことを切っ掛けに、購入する音源が大きく変わりました。
 で、このリンダのアルバムの3曲目「Cry me a river」。このスパースタンダードに、ジャズ・セッションギタリストの超ベテラン「ボブ・マンBob Mann」の素晴らしいソロが入っています。
 ブロークンコードを高音からの逆スウィープで入れたり、オルタードでフレーズを締めくくったり、気分を変えてブルースフレーズを適度にちりばめたりと、心憎いばかりで、「こんなソロが弾けるようになりたいなぁ」と、ほれぼれします。
 このベテランは、沢山のアルバムで聴いているのだけど、このソロは出色ですね。短い時間にエッセンスを詰め込み、見事な構築感を紡ぎだす、ボーカルバックの名ソロと言って良いでしょう。
 若いギタリストたちにも、こういう「本物の素晴らしさ」をコピーして欲しいと思います。
 昨年、携帯をauに変えてから、CD音源を携帯に入れて、通勤時に電車で聴き始め、このアルバムにも再会して、聞き惚れている今日この頃です。
 ちなみにこのCD1曲目「Till him I said Hello」は、私はこのアルバムで知ったのですが、すっかりお気に入りになった、佳曲。センチメンタルで、もの静かでメロディック、リリカル。まさに私好みの曲でした。
 鹿に指を噛まれて、爪がダメになってしまい、しばらく(爪が回復するまで)クラシックギター演奏が出来ないことから、「ジャズへの回帰」の波に乗っているペぺ田代。
 「ひょんなことから」とは思えません。鹿島神宮で、神様が導いて下さったのだと思えてなりません。
 なので、最近は「演奏活動でも、全ジャンル弾く」ことに戻りました。まさにリンダのこの久々のジャズアルバムの如く、20年に近い月日を経て。

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