ペペ田代~ギタリスト

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高度にユニークで本質的な叙情美に満ちたギター芸術』濱田滋郎(音楽評論家)

高度にユニークで本質的な叙情美に満ちたギター芸術』濱田滋郎(音楽評論家)

ペペ田代さんに関してはこれまで「ペペ・ロメロに学んだギタリスト」との認識しか、正直に言って、私は持っていなかった。多少、話を交わしたりしたのも、ペペ・ロメロ来日公演後の打ち上げの席ぐらいではなかったろうか。

いま、田代さんが世に問う決意をされ私のところへ送って寄越された自作自演CDのテスト盤を一聴、二聴して、私はうれしい驚きの中にいる。ここまで高度なギタリスト=コンポーザーで、彼はあったのか。まず彼は師の名を辱めないだけの音色とテクニックの洗練を身につけた人だとわかるが、それにも増して、作曲家としてもすぐれたインスピレーションとメチエ(専門家としての行きとどいた技術)の持ち主である事実が、聴き返すほどによく納得されて快い。
このCDには3つの組曲、いくつかの小品が含まれているが、すべてにわたって言えるのは、この人が、どこでも起用に手を出すというタイプではなく、自分の内面的かつ詩的な世界をしっかりと抱いた表現者だということである。技術や創意工夫は、すべてその世界を表すために役立てられている。

作品はいずれも聴き手の感性に訴える面が強くわかりやすいが、だからと言って平凡さに陥ってはいない。よく聴けば、平易なようでいて、ずいぶん難しい地点に立っての芸術的創作態度を一貫させているとわかる。とりわけ、彼の持つ、ギター音楽をポリフォニックに、横に流れる旋律線の組み合わせとして着想し思考する感性と、それに伴う技巧的な仕上げの良さとは、高い評価に値する。ノスタルジックな叙情味を湛えた≪遠い日のソナチネ≫が、その好例であるように。

もうひとつ、私がペペ田代の音楽のすぐれた点として挙げたいのは、その作風がインターナショナルであると同時に、どこかで「日本のもの」という、広い意味でのナショナリズムを具えていることである。教条主義的、「ねばならぬ」式の民族主義とは全く縁のないところで、ペペ田代の音楽は、しばしば、ほのかに、しかしはっきりと日本的である。

このことも含め、すでに言ったとおり、彼はあくまで自分の内的感動を、おのずと表現するギターの作曲家にして抒情詩人なのである。

昨今、日本でも注目度の高まってきたギタリスト=コンポーザーの系列に、この成熟した芸術家が加わったことを心から祝福したい。