ホームに戻る
 
ペペ田代プロフィールはこちら
ぺぺ田代ギタースタジオWEBサイトマップ
 
●オリジナルコンテンツ>ソロCD>評論>作曲ノート
ギター日記

ペペ田代作曲ノート

ネルハ  Nerja (2001年2月作曲)
 スペイン南部の海岸線コスタ・デル・ソル(太陽の海岸)の町「ネルハ」は、ヨーロッパのバルコニーと呼ばれ、背に山、前に海と風光明媚で温暖なところ。私は初めて訪れた時から、すっかり魅了されてしまいました。砂浜に寝そべり、一日が過ぎ去るのをゆっくりと味わうが如き休暇の日は、正に人生の休日そのもので、私の素敵な記憶のひとこまです。その想い出から作曲したのが、この曲です。マラガ(ネルハ近くの都市)生まれの大ギタリスト、ペペ・ロメロさん(私の父で師)と、そして惹かれてやまないアンダルシアへのオマージュとして、尊敬の気持ちで作りました。ペペ・ロメロさんに献呈するつもりで作曲しましたから、技術的に非常に難しい曲になってしまいました。

1 前奏曲 Prelude
 トッカータ式(細かく連なる音群)のキラキラとした印象にて明るい陽光を、バロック的な要素や構築感での西洋音楽様式にて伝統を、ポップなメロディーにて悦びと開放感を表現してみました。
2 幻想曲 Fantasia
 砂浜で波音を子守歌にうつらうつらとしていると、時たま聞こえる鳥の歌に誘われ、いつしか夢を見ていました。水平線に無敵艦隊が見えたり、幼き女王様と従者娘のお喋りが聞こえたり。そしていつしか夢の中で、心は深層へと向かってゆきます。はっ、と気付くと、目の前には変わらぬ穏やかな波が見えました。
3 舞曲  Danza
 海の幸に恵まれた町の収穫祭は、海の男達が大声で歌いながら小舟で内海を走るものでした。きっと踊りもあるのだろうと、勝手に想像して出来たのがこの曲です。個人主義と調和の社会をポリフォニック(複声部法式)にて、収穫の悦びは上昇音階で表現してみました。ときたま、海とは反対側から、熱く乾いた風が吹いてきたり、フラメンコが聞こえてきたりして、賑やかなカーニバルの雰囲気もします。

4 遠い日のソナチネ Sonatina for long ago , far away (2004年9月)
 ある秋の夕暮れ、数十年ぶりで子供の頃に通った小学校へ行ってみました。すると、あの頃と何も変わっていないものが沢山あって、驚きました。それは過去の自分との再会のようで、少しセンチメンタルで柔らかいひとときでした。夕日を背に、自分の影を見つめながら横切った校庭を、今また歩いてみると、どこかで笛の音が聞こえたような気がしました。

5 平凡なワルツ Ordinary Waltz (2004年10月)
 19世紀ロマン派の時代は、ギターにとってターレガの小品に飾られた素敵な時でもありました。そこで、メロディーがシンプルで簡単に聞こえる、ヨーロッパっぽいワルツを作ってみようと思い、出来たのがこの曲です。しかし、あまりに単純だとつまらないので、ジャズ的な調性変化を連続させたりと、私の持っているジャズ的な要素もよく出た曲だと思います。従って、曲名の「平凡な」は、ちょっとした皮肉になっています。
「月夜の光景」 Sight of a moonlight night  (1994年・2004年12月)
 どうも私は、冬がテーマの曲を作るのが苦手です。そんな中で、冬的なニュアンスを持った組曲がこれです。元々1994年に作曲した組曲ですが、当時は私の作曲能力が未熟で、駄作でした。しかし、モチーフは気に入っていたので、2004年12月、全面的に作曲し直しました。

6 前奏曲 Prelude
 衣擦れさえ、はっとするほどに聞こえる静かな満月の夜。月明かりに照らされた竹林に風が吹くイメージでした。この曲は1994年に作曲したまま、手を加えませんでした。

7 幻想曲「夜が明ける」 Fantasia "Comes the dawn"
 眠れぬまま更け、夜が最も深くなった頃、想いも深く心を巡ります。忘れ去った過去との邂逅や悔恨、失ったものへの憧憬や明日への不安。しかし夜明けと共に、想いも生まれ変わったような気になります。

8 トッカータ Tocatta
 凍える夜の空気に、月明かりは薄雲に弄ばれるように息づかいをしています。自己の中に共存する2つの想いが、対峙したり協調したりし、気持ちは揺れます。夢の中にさえ潜む現実性から、「今を生きている」ということを実感します。
「春の組曲」 Spring suite  (2004年3〜5月)
 冬が嫌いな私は、何にも増して春を恋しく思っています。この組曲はそんな日本の春の描写で、心からのオマージュです。

9 フーガ「もうすぐ春」 Fuga "Spring comes very soon"
 まだ寒い日々も、そこかしこに春の芽吹きを感じます。寒さと暖かさは絡み合うように交差し、私の心も待ち切れぬ想いに溢れます。

10 幻想曲−A「春雷」 Fantasia-A "Thunder storm in early spring"
 未だ寒さが残る早春のある日。急に雲行きが怪しくなり、雷鳴轟き、豪雨が襲ってきました。

11 幻想曲−B「桜が咲く」
Fantasia-B "Cherry blossom buds are popping"

 日差しの中で桜のつぼみが、はじけ始めました。

12 トッカータ「風に舞う花びら」
Toccata "Petals floating through the air"<
br>  桜が散り、風に舞う様は、まさしく豪壮、優美、絢爛たる見栄えで、日本的なメンタリティーのエッセンスを見るような気がします。風にあおられて、舞い上がり、急降下する花びらをイメージして作曲しました。

13 若い母の子守歌 Lullaby of a young mother (2005年3月)
 簡単な練習曲を作ろうと思って作曲しました。シンプルで柔らかなメロディーと和声で、日だまりに咲くタンポポのような暖かさに、赤ん坊を抱く若き母親をイメージしました。

14 レクイエム(鎮魂歌) Requiem  (2004年)
 今までに、悔いの残る見送りをしたことが何度かあります。その度に、何ともやりきれない気持ちになり、レクイエムを書いて捧げたいと思っていましたが、何とも気の重い作業で、20年近く、心の隅に宙ぶらりんになっていた宿題でした。今回、ようやく重い腰があがりましたが、作曲は大変、難航してしまいました。

15 首の差で(カルロス・ガルデル) Por una Cabeza (Carlos Gardel)
 映画のひとこまで、アル・パチーノがタンゴを踊る場面にしびれました。その音楽がこの曲で、ギターで弾きたいと思い編曲しました。1920〜30年代、タンゴのスーパースター、カルロス・ガルデルの作品でタイトルは競馬用語。「“首の差”で恋のレースに負けてしまった」という内容。

評論はこちら>